こんな会社はすぐに辞めたほうが良い!とも思えないこと

働き方改革。これに加え現在はコロナショックという大きな問題がありテレワークを半強制的に行われることで、いい意味で多様な働き方が認められやすい世の中になってきているように感じます。そうした中で、「ブラック企業」などという企業は担い手がいなく徐々に淘汰されなくなっていくだろうという淡い期待をしておりますが、私が働く建築業界ではどちらかというとそういった世の中の流れから遅れがちですが皆さんの状況はいかがでしょう?自分がブラックだと感じている企業に我慢して勤める日々が続いてはいないでしょうか。
かくいう私はと言いますと現在勤めている設計事務所もかなり労働時間は多く(繁忙期は残業時間250時間 3か月連続休みなし&一日おきに徹夜という時期もあり)、労働時間で言えば完全にブラック企業認定されると思います。私が現状をブラックと感じればブラックですが、この事務所に勤めてもう8年になります。(ただし、数か月以内に辞める予定ではいます)
現在はYou Tuberのような自由な働き方もあり十数年前とでは世の中の仕事に対する考え方がだいぶ変わってきたなという印象がある中で、サイトでこんな記事や動画を最近よく見かけます。→「ブラック企業のチェックリスト」「こんな企業はすぐにやめろ!」等々。特に人気ブロガーやYou Tuberが良く言っているのが「慢性的に時間外労働が多い会社は今すぐ辞めたほうが良い」というものです。
私は「働き方改革」という言葉がどうも好きになれない( 高齢社会が進み労働力が減る中で、社会全体の仕事の効率を上げて日本全体の生産力を高めていこうというそもそもの趣旨と、社会に浸透している言葉のイメージ「できるだけ仕事は休んで自分らしい人生を。。。のような」に乖離があったように感じていたため)人間のため、私の感覚が一般的に少しずれているかもはしれません。ですが、そもそも 企業の労働時間が慢性的に長い・・・ということだけで会社を辞める理由になるでしょうか。
私が友人などから仕事を辞めたいと相談を受けたときにいつもお答えしていること
- 労働時間が長かろうが短かろうがその仕事が自分のスキルアップになるものがなければすぐ辞めたほうがよい。
- 仕事は精神や体を壊してまでするものではない。自分に合わないと思ってからも少しは我慢して続けてみて、それでも合わないと思ったら辞めればよい。
- 自分の精神や体もだが、家庭を崩壊させるような働き方(家族の理解が得られないような働き方)は辞めたほうが良い。← これは自分がうまく仕事のこと家族に説明できないということでもあるので、自分自身も今の働き方にどこかで納得できていないところがあるのだと思う。
- 社内で度が過ぎる指導( 罵倒される・体罰など )がある、給料がちゃんと支払われないなどという会社は言うまでもなくすぐ辞める。
- 自分たちが生存しているうちになくなるであろう仕事は職種を変えたほうが良い。
私の中で特に指標となっているのが1番の、今の仕事が自分にとってスキルアップできる仕事であるかどうかという点です。
私が前職を辞めた経緯について
私の前職は東京で建築現場の施工管理(現場監督)を4年間やっていたのですが、もう時間外労働が半端なく多くて、年中 月の残業時間は200時間超、電車通勤のため終電に間に合う日はほとんどなく、月曜に出勤したら日曜の朝まで家に帰れない、という日々が続きました。
もちろん残業代は一定時間分まで(労働基準法で決められた時間数が限度)しか出ないし、毎日風呂にもろくに入れない。という今思い出せば地獄のような日々だったのですが、その当時は3年目くらいまでは不思議と精神的にきついといった感情は持っていませんでした。
尊敬できる上司に恵まれていたことや、何よりその仕事がその当時の自分にとってスキルアップにつながっていて毎日が勉強で楽しかったというのが大きかったからなのだと今になって理解できる気がします。
ただ、その当時は新卒3年以内に辞めれば、ストレス耐性がないという理由で転職がしにくいという風潮がある時代だったので、私は入社した時点でどんなに辛くても3年間は辞めないと決めていたのもあったのですが。。。
そして入社して3年目も後半になり部署が変わり上司が変わってからは考え方が一転して今すぐにでも辞めたいという日が続きました。労働時間は相変わらずだったのですが、それよりその時の上司が自分には合わず毎日逃げたいと思うばかりの日々でした。そして4年目に入ってすぐに退職届を提出し半年間以上拘束されましたがようやく退職することができました。先のことは全く考えないで辞めたのですが、そのころ東北の震災があった時期でもあり、妻(社会人3年目に結婚)の両親からも帰って来いとの説得をうけ地元に帰ることになりました。
地元でも施工管理は同じように激務だろうと思って、帰ってからは設計事務所に入ろうと思い就職活動をはじめました。(就職活動をしていた時に感じたのはハローワークの情報の少なさ曖昧さ、これでは採用側にとっても求職者にとってもお互いに求めるものがマッチングした情報は得られないと感じハローワークを利用するのは辞めたのですが、このことについては話がそれてしまいますのでまた今度書きたいと思います。(その当時、特に地方では就職サイトが今ほど充実していなかった。地元の企業が就職サイトにお金を払って人員の募集をしていなく、登録していた就職サイトから紹介される会社は私が住む地域から離れているものばかりだった。)
地方は設備設計事務所はあまり数が多くないので、ネットで調べて自宅から近いところから順に直接会社に電話をして話を聞きに行って就職先を探しました。東京の大手で働いていたというのもあって、その当時は無資格だったのですがすぐに就職先が見つかりました。それが今も勤めている設計事務所です。
「慢性的に時間外労働が多い会社は今すぐ辞めたほうが良い」という意見について
慢性的な長時間労働=それだけ働かないとお金を得られない=需要と供給のバランスが取れていない=世の中にあまり必要とされていないという構図になっていて慢性的な長時間労働がはびこっているのかと思われますが、私は建築業界において利益率が低い会社というのは仕事の取り方に問題があると思っていますので業界自体への将来性については心配ないと思っています。( 設計業務に限っては将来性がないかもしれませんがこれもまた後日書きたいと思います。)
「慢性的な長時間労働=すぐ辞めたほうがよい」ということをいう人たちがいるのは理解できます。ですが、人気ブロガーだってプログラマーだって好きなことをやっているために労働という概念がないだけであって、今のレベルになるまでに費やした時間というものは相当な時間なのではないでしょうか。実際に「ブログで稼ぐ」のようなサイトを見ると表向きは簡単に稼げます、みたいなサイトも多いですが、それなりに稼いでいそうな人気ブロガーの正直な記事を読むと収益を上げるまでに数年かかるようなことの記載が多いです。
なので慢性的な「長時間労働=すぐ辞めたほうがよい」という判断基準で動いているとどんな仕事だって大成しないのではないかと思います。楽して人より優位に立てるほど世の中甘くないですし、そもそもそういうものがあれば皆がやっています。
要は本人の価値観や現状のレベル次第で、その会社はキャリアアップの手段にもなりうるし、ブラック企業にもなりうるということです。
これからは終身雇用という考えがなくなってくると思いますし、キャリアアップのため会社をどんどん移動していけばよいと思います。ただ、私がお伝えしたいのは慢性的な長時間労働が続いている会社でも本人のスキルアップにつながり、かつ精神・肉体的に問題がないうちはそこでしばらく頑張ってみる価値があるのではないか。。。ということです。
そして今は少し前と違って地方のほうでも様々な転職サイトがあったり自分の市場価値を判定してくれるサイトなどがあります。今の会社で若く体力があるうちに多くの仕事をこなし、十分に自分の市場価値を高めてから転職すればいいのではないでしょうか。